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わくわく着物~着物の愉しみ~ 臥竜亭へようこそ!

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愛おしい-火鉢

■□■殺意の火鉢■□■

 昔の火鉢ですね。けっこうデカいです。大人の一抱えあります。地元のフリマで並んでいたものです。
 母と冷やかしに行ったフリマ。「どこの誰が使てたか分からんモンはちょっと…」主義の母の足が、一軒の店の前で止まりました。それがこの火鉢の前。
「イイですやろ、奥さん」。気さくなオッちゃんが、声をかけてきます。
「これね、うちに納屋にずっと放ってあったモンでね。古いけど、きれいでしょ」「私が子どもの頃、ウチにもあったわ。懐かしいなぁ」「今また、若い人に人気あるよ。鉢カバーとかマガジンラックとか、いろいろ使うみたいよ」。話弾む二人。
 聞くともなしに、ボーッとしてると「3千円て値段付けたけど、エエわ。5百円にしたげるわ。分かってもらえる人に、大事にして欲しいもん」とおじさん。「う~ん、そやなー。もろてこかしら」と母。な、なんですと!?
 地元とはいえ、歩けばゆうに十数分はかかる距離。フリマで道路がホコ天になっているため、車は使えない。どうやって持って帰るというのか。すっごい嫌な予感。
 …。歩きましたとも。火鉢抱えて。何度も何度も休憩しながら。秋だったけど、死ぬくらい汗もかきました。
 でも、家に帰ってみれば、「やっぱりステキー」とご満悦な母を見れば、『ま、いっか』という気にもなろうというもの。園芸が趣味の母は、あれでもないこれでもないと、植木鉢をとっかえひっかえしては楽しそう。う~ん、親子愛。イイ話でしょ。1週間目くらいまではね。
 その後、逆さまにひっくり返された火鉢が、裏で雨ざらし日晒しになっている。「なんで使わへんの?」と聞くと、「やっぱ火鉢は火鉢。鉢カバーにはならへんわ。底に水がたまるし、土で汚くなって、イヤなんやもん。買わんといたらよかったわ。あっはっは!」。な、なんやとぉ~!!
「…ついカッとなって、やってしまいました」。三面記事をにぎわす犯人の気持ちが、いきなりわかった秋でした。

火鉢



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